それと、トースト

こんな風に毎日ちゃんと陽はのぼっているのだろうか、と思うほどに穏やかな朝がある。


昨日の残り物をやっと起きて来た身体に取り込んで、オレンジジュースを飲み干す。

太陽の匂い、洗濯機が音を立てるまで、何度も読んだ漫画でも読んでいよう。

洗い立ての軽やかな匂いがベランダに並んだのなら、

季節が変わる瞬間を捕まえに、目に見えない虫取り網を持って外に出よう。


今日は、まだ真ん中にもなっていない。

早起きのパン屋さん、ねぼすけのスーパーマーケット、酒屋のおじさん。

跳ね回るほどではないけど、無意識に、ホップ、ホップ、ホップ。たまにステップ。


犬。種類が分からないけど、犬。たまに、野良猫。

キャッチボールの音。

まだ開いていないレコード屋と、コーヒー。

誰かのへたっぴな鼻歌と、目玉焼きを焼く音。


そんな、物語の世界にしか無さそうな、あたりまえの朝。

おはよう。今日も、ちゃんと、今日がはじまる。

石田灯葉

石田灯葉(いしだともは)といいます。 書きたいことを、書きたいように、書きたいかたちで、書いていきます。

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